自殺遺体の叫び

2004年(平成15年)8月初版発行

著者 上野正彦

出版社 角川文庫

定価 476円(税別)

※この文庫本は2000年(平成11年)1月に
ぶんか社より刊行された単行本を文庫化
したものです。

 

★感想★
 高名な法医学者である上野正彦氏が「自殺防止を呼びかけたい」という
思いで、自殺遺体ばかりに焦点を当てて書かれた本。
私がこのサイトを作るきっかけにもなった本で、多くの死を見てきた上野氏
だからこそ言える、自殺防止に対する様々な提言が書かれています。
氏のヒューマニズム溢れる暖かい思いに、何度と無く目頭が熱くなりました。
冒頭に青木ヶ原樹海レポートとして、氏が一斉捜索に参加した際の
詳細なレポートが書かれているのですが、現在ではおこなわれていない
一斉捜索の模様が伺えるので非常に貴重なレポートだと思われます。
 氏もこの捜索で実際に自殺者の白骨遺体を目にし、その無惨な姿に
樹海で死を選んだ人達の「美しい死に方」のイメージと現実の間には
少なからぬギャップがある。と感想を述べられていました。
そしてその上で「ありのままの現実」を樹海での自殺志願者に伝える事が
自殺防止に効果があるという事を提言されています。
 
 また「完全自殺マニュアル」を読んで安易に自殺する人が増えるのでは
ないかという批判の上で、自殺はそんなに容易ではない。死には痛みが
つきまとうということを、具体的な例を出して説明されています。
ただ残念なのは、完全な読み物として書かれている作品なのでマニュアル化
された「完全自殺マニュアル」ほどは読みやすくない事です。
もっと容易に読めるように工夫し、自殺志願者が手に取りやすいように
すれば自殺防止呼びかけに効果があるように思えました。

おどろおどろしい装丁ではありますが、是非読んでみてください。

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